第2回学術集会を終えて〜学術集会長からのメッセージ〜

このたび、日本エンドオブライフケア学会第2回学術集会を2018年9月15日(土)・16日(日)の両日、一橋大学一ツ橋講堂(神保町)で開催させていただきました。

本学術集会のメインテーマは「エンドオブライフにむけてすべての人が意思表明を支えあうケア」として、地域でアドバンスケアプランニング(ACP)をどう実践していくか、を軸としてプログラムを組みました。

開催当日は好天に恵まれ、参加者は約480名、そのうち市民が71名という多くの皆様が足を運んでくださいました。アンケート結果を見ますと多くの方が行きたいプログラムに参加することができ、自分のエンドオブライフについて考え、さらにはエンドオブライフを支えることについて語り合うことをとおして「生きるを考える」機会となったことが示されています。

人生100年時代を迎え、質の高いエンドオブライフケアは、その人がどう生きたいかを表明すること、そしてその意向に沿う最善のケアを提供するにほかなりません。すべての人々が一人の人間として「いのちをどう支えるのか」あるいは「自分らしく(その人らしく)生きるとは何か」、本当の「豊かさ」は何か、人間本来の存在の意味を問い誰にでも訪れる「いのちの終わり」にどう向き合うかを問うことです。その意味で、エンドオブライフケアは医療の中だけではなく、国民一人一人がそれぞれの立場で身近な人の生と死にかかわり「生老病死」に向き合うことを支え、支えられる社会の中にこそ存在するものであると考えます。今後も本学会が目指す社会の在り様を学術集会を通して市民に拓かれ、専門職もともに考えることでエンドオブライフケアの質の向上が期待できると考えます。

第2回学術集会長
東京女子医科大学看護学部 教授 長江 弘子